Stories of the DEVeL PROJECT: '96 5代目 DEVeL(DEVeL−X) & '97 6代目 DEVeL
〜New DEVeLの可能性〜 未来はあるのか

5S-47席 Fブレード
平成11年12月19日提出
平成11年12月19日受理
■DEVeL-Xについて
96年型の5代目DEVeL「DEVeL−X」は昨年までとは違いFMCを行い、戦闘力を大幅にUPさせた。それは新しいレギュレーションに合わせて、全幅を200mm縮めて、2000mm→1800mmに変更し、各equipmentを一新した。まさしく「ネジ一本まで」という言い方がピッタリだった。

ざっと並べると、太陽電池を京セラ製多結晶シリコンパネルから昭和シェル石油製レース専用単結晶シリコン太陽電池に変更。変換効率の向上を図ると供に、作られた電気エネルギーはマキマイザー製MPPTによって、余すところ無くバッテリーに充電される。

フロントサスペンションにはダブルウィッシュボーンを採用し、HONDA-CB250L用リアショックとともに、RKエキセル(リム)に装着したDUNLOP(タイヤ)を路面に確実に追従させる。リアはモンキー用リアショックを使用した。

カウルも作り替え、空気抵抗を軽減し、またよりカッコよく作った。

モーターは、いくつかの候補の中から、ユニークの[DR-086s]を採用した。理由は軽自動車用バッテリー9個のパワーを効率よく使えることもあるが。何より「ゼロハチロク」という名前が、「頭文字D」ファン&ハチロクオーナー(当時)であったドライバー(俺)をその気にさせた。そして、パワーが上がった分、ドライブトレーンを変更し、ブレーキSystemをブレンボ製にし、ストップパワーも上げた。

■'96DEVeLの特徴 〜ここが変だよ'96DEVeL〜
'96DEVeLでは2つの特徴がある。

1つは太陽電池をのせるパネルに、アルミフレームとパンチングメタルを使用していることだ。パンチングメタルとはアルミの板にパンチングメッシュを施したモノである。つまり穴あきのアルミ板。
この上に太陽電池をのせることによって太陽電池を冷却し、発電量を多くしようというもので、実際冷却効果はかなり高かった。

ヒートのインターバルは充電時間に当てられているので、各車「甲羅干し」をする。このとき「水をかける」という常套手段を使わなくても、温度の上昇をかなり抑えることができた。しかし、パネルをアルミで作ると、当然かなりの重さになるが、それを差し引いても冷却効果をとる作戦だったわけだ。

もう一つは、モーターをリアのスウィングアームに搭載したことだ。
これは'95DEVeLまでは、チェーンのトラブルがかなり発生していたことの改善を狙ったものだ。おそらくチェーンは、ギャップ(段差)にのったときに、ピンと張ってしまって外れたのだ推測される。その原因はその原因は、タイヤとモーター(車体フレーム)が別の動きをするからである。ならば、モータをタイヤと同じ動きをする場所に搭載すればチェーンは外れないことになる。しかし、これではバネ下重量が重くなってしまい、大きな欠点といえる。

だが、毎年トラブルにみまわれているのではスポンサーに大変申し訳ないので、トラブル発生率の低減を最優先し、モータはスイングアームに搭載された。
■インプレッション 〜スロットルOFFでも どアンダー〜

さていよいよ'96DEVeLをコースで走らせてみよう。当時の記憶をたどってみた。決勝ではよほどのことがない限り、全開アタックはしないので、予選のときのことを書いてみようと思う。
「クリアラップを作り、シケイン立ち上がり ボリュームを Flat out(全開)にする。2A、3A、スピードメータのデジタルがパラパラと上がってゆく。4A、5A、ユニークがうなりを上げて回る。どこまでも回ってゆくようなそのフィール。スバラシイ。身をよじり、狂おしいように走るDEVeL。NOブレーキで1コーナーに進入する。回らないクルマを力でねじ伏せる。なめらかなラインでS字クリア。
とまあ ここまでは誰でもできる。ここまで走ればある程度のことはわかる。

このクルマはとにかく曲がらない。スロットルをほんのわずかに戻し、フロントに荷重しても、とにかくアンダー。身をよじる=フレーム剛性がない。だから力が逃げるような感じになる。

 さていよいよここからが腕の見せ所。スピードを殺さず、逆バンクをクリアし、7.8%からDUNLOPに向けて一気に駆け登る。ライン取りはサーキットのバイトをさぼって研究したのでバッチリ。逆バンクからダンロップは、E..アーバインのラインをパクった。(=マネした。)

 S字は「湾岸ミッドナイト」みたいにストイックに浸れる。が、そこから先は根性ドライブ。デグナーから立体交差までの下りは、重力の恩恵を受けて加速していく。そしてヘアピン。実はこのクルマで一番手こずるのは、ダンロップでもなく、シケインでもなく、このヘアピンである。

 アンダーが強く、フレーム剛性がないこのクルマは、とにかく低速ターンが大の苦手である。そのためには立体交差までの下りでのスピードを保ったまま、全開でつっこむ。
 当時「頭文字D」にハマっていたドライバー(俺)は、この 加速の悪いクルマを速く走らせるために「自称慣性ドリフト」と名付けた藤原拓海バリのドリフトでヘアピンをクリア。あとは高速クルーズを楽しむ。シケインは左右の縁石に乗り上げ、できるだけ直線的にクリアする。」
とまぁこれで完成である。

このDEVeL−Xをサーキットで走らせた感想は「とにかくどアンダー」だった。
もともと走る前から、我らが監督兼設計者:Mr.TANAKAの性格から「弱アンダーぐらいかな」と予想していたが、いやいや「とにかくどアンダー」になっていた。(フロントダンパーが軟らかすぎるからだと思う)

そのため、1−2コーナーやまっちゃんコーナー、下りのスプーンなどは、すこぶる安定性がGOODハンドリングを見せるが、ヘアピン、シケイン、S字などの中低速コーナーではその回転性の悪さから、向き変えに苦労する。

言うまでもなく鈴鹿サーキットはそのコースレイアウトから、全体的にスピードを乗せていかないとタイムが出ない。そのため「ストレートでもコーナーでもない”第3のポイント”を如何に速く走るかが重要とされる(by高橋涼介)」のだ。だからこの3つの中低速コーナーがポイントだとドライバー(俺)は考えた。

しかしシケインはもとより、ヘアピンが苦労した。とにかく曲がらないから「勢いよくつっこんで遠心力を利用してクルマをドリフトさせるしかない」をとあるマンガに影響を受けたドライバー(俺)がやってみたが、フレーム剛性が弱く、力が逃げて失速するという最悪の結果になり予選を突破できなかった。(嘆願書で本戦には出場できました。)

つい最近まで なんであんなアンダーの強いクルマになったのかなと思っていたが、最近ようやくそれが理解できた。
'99の6月、レース屋さんが作ったソーラーカーに乗るチャンスが訪れたが、そこでなんとスピンさせるというとんでもないことをやってしまった。そのクルマは比較的とてもよく曲がるクルマだがコントロールが難しい。街道レーサーレベルではとても乗りこなすことができなかった。そのとき気づいたのだ。
我らが監督兼設計者:Mr.TANAKA はドライバーのレベルと性格から「わざと」スピンしにくいロングホイールベースでアンダーセッティングにしたのか と。今更ながら 我らが監督兼設計者の奥の深さにまいってしまった。
2000/01/14初出・2000/01/15一部訂正
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